「税金をコントロールする」という意識の芽生え

サラリーマンにとって40代後半から50歳代が人生のうちで最も収入が高い時期ですが、同時に税金の負担もかなり多い方が多いのではないでしょうか。しかし、厚生年金、社会保険に加え、住宅ローンや子供の教育費を払うと、思いのほか少ししか残らないのです。贅沢な悩みだと言われるかもしれませんが、裕福な感覚は全くありません。

 

サラリーマンなので、税金は自分でコントロールすることはできず、給料から引かれていきます。そこに疑いの目をもたず、そういうものだと思っていました。自分でコントロールできないことには興味が湧きませんので、対策を打ちません。

 

太陽光発電投資の事業計画を作成し、損益計算書のシミュレーションを何度もしているときに、あることに気が付きました。最初の5年は赤字だけれど、キャッシュフローはずっとプラス。こんなこと本当にあるの? 計算間違えじゃない?と思いました。

 

原価償却方法には定額法と定率法がありますが、定率法にするか定額法にするかで、損益が大きく変わるのです。太陽光発電所の場合、土地が安い場所で事業を営みます。住宅地とは違い土地代は段違いに安いのです。だいたい土地が1割りに対して設備が9割りになります。2千万円の発電所を購入した場合、土地は2百万円前後、18百万円が設備費です。発電設備は17年で償却するのですが、定額法は毎年同額を費用計上しますが、定率法は設備が年々古くなり設備効率が落ちるという根拠から、一定の率で経費化することになります。減価償却費は費用計上できますが、キャッシュフローには関係ありません。したがって、キャッシュフローはプラスなのに、損益は赤字ということがありうるのです。

 

給与収入が人生で最も高い50代の時に事業が赤字になると、給料と損益通算することになるので、収めた税金が戻ってくることになります。給与収入が半分以下になると60歳以降は所得税率も下がりますので、節税効果が生じます。

 

但し、定率法と定額法でどちらが有利かという議論は諸々あります。定率法の方がトータールの税金支払額が多いので、定額法を好む方もいらっしゃいます。人生のステージや収入の状況で判断が変わってきますので、最終的にどちらを選ぶかは、正解はなく、人それぞれだと思います。

 

しかし、サラリーマンでも節税が可能なのかということを初めて知ることができたのです。これは発電事業をやったからわかったことで、サラリーマンの給与収入だけでは、税金をコントロールするという発想は出てきませんでした。自分で事業をすれば、税金支払いのコントロールが可能なのだということを初めて知ることができました。

 

個人投資家の皆さんは、常に税金のコントロールを考えており、「何をいまさら」とおっしゃるかもしれませんが、会社一筋のサラリーマンには新しい気づきでした。