政治分析① ~国が再エネ参入にインセンティブ~

再エネビジネスの特徴はなんといってもFIT(固定価格買取制度)法にあります。簡単に言うと、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が20年間、同価格で買い取ることを国が義務付ける制度です。20年間決められた価格で買い取りをしてくれるというのは、一般的なビジネスでは全く考えられないぐらい優遇された制度です。2012年から固定価格買取制度が始まりましたが、12年は40円/kwです。家庭用電力は28円/kwぐらいですから、実にユーザーが支払う価格より12円も高く買ってくれたのです。電力会社には逆ザヤですが、法律で決められたものです。

 

固定価格買取はわかりますが、ここまで高い単価に設定したのかを考えますと、インセンティブを与え、多くの投資家を呼び込みたかったという政府の思惑が垣間見えます。常識的に考えれば、せいぜい家庭用電気料金の20円代後半ぐらいで、プレミアムはなしというぐらいじゃないでしょうか。

 

低圧太陽光のFIT価格は2019年度14円となり、実質的にFIT制度は終了し、FIP制度に移行します。FIP制度は卸市場などで販売した価格にプレミアムを上乗せする⽅式です。再エネ賦課金が増え、国民の負担が増加しすぎたためだと言われています。再エネ導入の優遇策はおしまいで、ようやく市場原理による正当な競争環境になります。

 

太陽光の施工業者さんも今まで比較的楽に儲けてきましたが、ここからコスト削減競争が始まります。いかに低コストで発電所を作るかが求められます。これができないと淘汰されていきます。施工会社は比較的小規模で、資金力がないので、倒産が増えることも想定されます。また、施工業というビジネスモデルを転換して、メンテナンス会社なる、電力会社になるなど、転換が求められます。

 

次回は第5次エネルギー計画の影響を考えてみます。