太陽光か風力か?

再生可能エネルビー事業を調べ始めたのは2017年の12月頃でした。投資家目線でいえば、「すでに太陽光バブルがはじけて魅力が薄れ、これからは風力発電だ」という雰囲気がありました。中国企業の参入も多く、太陽光業者もこぞって風力に参入していました。展示会では各ブースに風力発電のレブリカが飾ってありました。確かFIT単価も高く非常に魅力的でした。

 

 

FIT単価

表面利回り

分譲価格

太陽光発電(低圧)

21~24円

9~11%

2~3千万円

風力発電(20KW以下)

55円

13~15%

4~5千万円

 

数字を比べてみると風力発電の方が魅力的に見えますが、風力には心配の種がありました。

 

  • 風が安定的に吹くのか
  • リスク
  • 環境負荷
  • 資金調達

 

私が以前担当していた事業の工場が大井川流域にありました。冬はものすごく強い風が吹きます。御前崎や近隣の市にも風力発電機が設置されていました。そこで、わが社の工場の敷地に風力発電機を設置し、コストダウンと環境負荷低減を目指そうという案が持ち上がりました。新幹線の車窓から工場が見えるので、企業イメージアップの宣伝効果も見込めます。そしてフィジビリティスタディが始まりました。結果は、風が吹くのは冬の一時期で、ペイしないというものでした。投資はしたが、風が吹かず多額の負債を背負うわけにはいきません。

安定して風が吹いたとしてしても、近隣に風力発電機が設置されると、風の向きが変わり、風が吹かなくなる可能性もあります。これも大きなリスクとなります。

 

風力発電機は大きいので、故障したり、羽が飛んでいってしまうと周辺に与える影響も大きく、太陽光パネルの比ではありません。メンテナンスも太陽光と比べると非常に大がかかりとなり、コストもかかります。FIT終了後の撤収費用もかなりかかります。

 

風力発電は様々な負の部分もあります。一つは騒音問題です。大きな音がしますので、住宅地の周辺には立てられません。また大きなブレードを運ぶには、大きな道を作る必要があります。ブレードを運ぶために、森林を伐採するのは環境負荷となり、本末転倒ともいえます。

 

4番目の資金ですが、太陽光発電所の約2倍します。2017年ごろは、太陽光発電所は25百万円、風力発電所は50百万円しました。額が大きいので資金調達は容易ではありません。富裕層方ではないとできない投資でした。サラリーマンが投資をすると、最低2か所から調達する必要がありました。政策金融公庫+信販または地銀という組み合わせになります。スルガ銀行から提案を受けたことがありますが、金利が6-7%と高く、金融公庫と合わせ技でも3-4%となりました。

 

従いましてサラリーマンにとっては、ハイリスク・ハイリターンの投資となります。太陽光と風力と両方取り扱っている業者さんに相談すると、十中八九、太陽光を進められました。ある施工業者の営業は「風力は男のロマンです。風が吹けば大儲け。吹かなければ失敗。成功確率は40%。60%の方が失敗しています。」

 

これではばくちに近いです。中流サラリーマンには、50百万円をどぶに捨てることはできません。とても無理だと思いました。結局、お日様さえ登れば安定した収入が見込める太陽光発電を選びました。ちなみにこの施工業者さんは、1年後風力発電から撤退しました。